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日経お役立ちニュース No.28

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いろいろなことがあった5月でした。全世界を襲ったサイバー攻撃や各地で相次ぐテロ。昨日31日にもアフガニスタンの首都カブールの警備の厳しい大使館街で大規模な爆弾テロがありました。そして、わが国にとって最も脅威は北朝鮮のミサイル。今回は5月16日(火)3面「IoTの盲点突く 世界同時サイバー攻撃」、23日(火)3面「北朝鮮、高まる脅威」をお送りします。

米軍はカール・ビンソンとロナルド・レーガンの2隻の原子力空母を日本海に展開し北朝鮮に圧力をかけています。通常、日本周辺には第7艦隊所属のロナルド・レーガンのみしか展開していません。空母が2隻配備されているということは、いつでも戦闘状態に入れることを意味します。空母1隻では敵の攻撃や艦載機の事故等で飛行甲板が使用できなくなると艦載機が着艦できなくなります。そのため、戦闘するなら空母は複数必要です。しかしながら北朝鮮はそれを気にする様子もなくミサイル発射を続けています。

4月に米国は大量の巡行ミサイルでシリアを攻撃しました。同様の攻撃を北朝鮮の核開発施設やミサイル発射基地に対して行えば状況は改善するように思えます。しかし、そうできない事情があるのです。シリアには米軍を攻撃する能力がありません。4月の米軍によるミサイル攻撃の際にも反撃すらありません。しかし、北朝鮮の場合は違います。米軍が北朝鮮に先制攻撃すれば、休戦中である朝鮮戦争が再開するのです。

朝鮮戦争は1950年6月25日に北朝鮮が国境線と化していた38度線を越えて韓国に侵攻したことで勃発しました。背景には米ソ対立がありますが、韓国の李承晩初代大統領が対馬への侵攻を意図して、戦力を南部に集中させた隙を突いたともいわれています。北朝鮮軍をその前年に独立した中華人民共和国が支援し、義勇軍という名目で中国人民解放軍を参戦させます。防戦するのは当時駐留していた米軍を中心に、イギリス、フィリピン、オーストラリア、ベルギー、タイで構成される国連軍です。1953年7月27日に国連軍と中朝連合軍は朝鮮戦争休戦協定に署名し休戦しました。3年間に及ぶ戦争で朝鮮半島全土が荒廃しました。休戦時の軍事境界線が北緯38度線なのです。

米軍が巡行ミサイル等で北朝鮮を攻撃したとすると、この休戦協定が破棄されたとして朝鮮戦争が再開します。38度線からソウルまでの距離はわずか40キロ。高射砲による砲撃で十分な距離です。在韓米軍はもっと南に駐留していますので、ソウルの防衛は手薄です。北朝鮮は虎の子のミサイルを温存したまま、公約通りソウルを火の海にすることができます。そして、ミサイルによって日本も攻撃対象になります。かつての朝鮮戦争の際には日本は戦争特需で戦後復興を遂げましたが、今回は日本も攻撃対象になります。日米のミサイル防衛網がどんなに優秀でも、一度に何百発ものミサイル攻撃を受けると全て迎撃するのは無理といわれています。

こうした事情があるので米軍は北朝鮮に先制攻撃をかけることができません。事態はこのまま膠着しそうです。その間にも北朝鮮の核やミサイル技術は進歩するものと思われます。有効な手段は経済的制裁しかないのが実状です。しかし中露がこっそり支援しているといわれており、経済制裁は抜け穴だらけ。日本にミサイルが届くということは、北京にもミサイルが届くということ。中国も苦慮していることでしょう。しかも日米のようなミサイル防衛網はありません。

北朝鮮はサイバー犯罪で資金集めをしているといわれています。もしあなたのパソコンがウイルスに犯されても身代金は支払わないでください。あなたの支払った身代金が北朝鮮のミサイルになるかもしれないのですから。
5月12日、世界中のパソコンがサイバー攻撃にさらされ ま す 。1 5 0 カ 国 ・ 地 域 の 約 2 0 万 台 の パ ソ コ ン に 被 害 が 及 び ま し た 。パ ソ コ ン を ウ イ ル ス に 感 染 さ せ 、復 旧 と 引 き 換 え に 金銭を要求する「ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)」 が使われました。身代金の支払いには仮想通貨「ビットコイン」 が指定されました。攻撃を受けたのは鉄道や医療、通信など インフラや大規模な生産工場です。「WannaCry(ワナクラ イ)」と呼ばれる今回のウイルスは、著名ハッカー集団「シャ ドー・ブローカーズ」が米国家安全保障局から盗み出した ものの改良版といわれています。 世界がサイバー攻撃にさらされていた14日、北朝鮮は 新型弾道ミサイルを発射します。飛行距離は約800km、高度 は 2 0 0 0 k m に も 達 し ま し た 。I C B M ( 大 陸 間 弾 道 ミ サ イ ル ) の開発に一歩前進したものと思われます。北朝鮮は核・ミサ イル開発を戦略としていますが、サイバー戦にも力を注いで います。全世界を混乱に陥れた今回のサイバー攻撃に北朝鮮 が関与したのではないかともいわれています。 Io T の 進 展 で あ ら ゆ る も の が イ ン タ ー ネ ッ ト に つ な が る ようになり、サイバー攻撃はますます効果を発揮するように なってきています。日本政府はサイバー攻撃に対する対抗 措置の検討をはじめました。既に世界60カ国でサイバー 攻撃の専門部隊が運用されており、サイバー空間の防衛も 重要な課題になっています。 21日、北朝鮮は今年8回目となる弾道ミサイル発射を 行 い 、実 践 配 備 と 量 産 化 を 表 明 し ま し た 。ま た 、各 地 でIS (「イスラム国」)によるテロも頻発しています。26、27日には イタリアで主要国首脳会議(タオルミナ・サミット)が開かれ ました。貿易問題や地球環境問題に関しては不一致があっ たものの、北朝鮮問題やテロ対策では協調を表明しました。 しかし、29日に北朝鮮は新型の精密誘導ミサイルを発射。 世界の圧力に屈しない姿勢を鮮明にしました。

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