日経お役立ちニュース

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日経お役立ちニュース No.22

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注目されたトランプ大統領の施政方針演説はこれまでの攻撃色を薄め、大統領を批判してきたニューヨーク・タイムズやCNNも一定の評価をしました。トランプ大統領が表明した法人税の減税や大規模なインフラ投資による景気刺激策に、FRB(米連邦準備理事会)の早期利上げ観測も加わり、NY株式市場のダウ工業株30種平均終値は史上最高値の2万1,115ドル55セントとなりました。

今日2日は東京市場でも株高が進み、一時、日経平均は19,600円台まで値上がりしました。終値は19,564円80銭と前日比プラス171円26銭です。米国は景気回復で利上げが進みそうですが、日本は依然としてマイナス金利。マイナス金利は銀行の経営に大きな影響を与えています。

今日お届けするのは、そんな日本の銀行のニュース。再編が進む地方銀行(地銀)のニュースです。2月21日(火)3面「地銀、系列超え再編」と2月20日(月)3面「寡占巡り論争」をお届けします。

三井住友ファイナンシャルグループ(FG)系列の関西アーバン銀行とみなと銀行は、りそなホールディングス(HD)系列の近畿大阪銀行と経営統合を進めています。昨日3月1日の続報では、三井住友FGとりそなHDが出資する持ち株会社に3行をぶらさげる形になるようです。りそなHDは5割超出資し連結子会社としますが、三井住友FGは20~25%程度の出資で持分法適用会社とし、関与を減らします。

近畿2府4県は地銀10行がひしめく「オーバーバンキング(銀行の過剰)」地域。1995年には21行あった地銀は半分に集約されていますが、地方に比べるとメガバンクも強く、有力な信用金庫も多くあります。さらに、3行が地盤とする大阪、兵庫は他地域の地銀の越境進出も激しくなっています。そのため金利引き下げ競争が激化し、銀行の経営に悪影響が及んでいます。

銀行を監督する金融庁は地銀に金利引き下げ競争から脱却し、持続可能なビジネスモデルを構築するよう求めています。そのため、合併・統合を進め、規模拡大や店舗の統廃合により経営効率をあげるのが選択肢の一つになっています。

1996年から2001年にかけて行われた「金融ビッグバン」で3つに集約されたメガバンクですが、これまでは地銀を系列化し、地方営業の足場としてきました。しかし、メガバンクの収益構造は低金利が続く国内ではなく海外事業へと転換してきており、人口減少やマイナス金利で地銀ビジネスのうまみがなくなってきています。また、主要国の銀行が加盟するバーゼル銀行監督委員会が定める国際的な監督規制「バーゼル規制(*バーゼル銀行監督委員会の常設事務局が国際決済銀行:Bank for International SettlementsにあることからBIS規制と呼ばれることもあります)」に対応する必要もあります。これは世界の金融システムの安定化と健全化をめざすもので、国際的に活動する銀行の自己資本比率などを規制しています。規制は経済・金融情勢により数年ごとに見直しが行われ、ますます厳しくなってきています。そのため、日本のメガバンクは資本を積み増すか、資産を抑制するかの選択をせまられており、系列の地銀を整理してきています。

今回の再編が実現すれば三井住友FGが大口出資する地銀はなくなります。一方、3メガに次ぐ金融グループであるりそなHDは、地銀との連携を深め、国内の個人や中小企業向けの営業を成長戦略としています。今回は双方の思惑が一致した結果、系列を超えた再編につながったようです。当の三井住友FGも元々旧財閥の系列を超えて誕生したもの。地銀の再編は系列を超えてまだまだ続きそうです。

明日3月3日、三井住友FGとりそなHDはこの件を正式に発表するようです。

各地で進む地銀の再編ですが、公正取引委員会がそれに待ったをかけるケースが出てきました。長崎県内首位の十八銀行と県内2位のふくおかファイナンシャルグループ(FG)傘下の親和銀行の統合が半年間の延期に追い込まれました。両行が統合し、ふくおかFG入りする予定でした。

公取委が問題にしたのは、県内の貸し出しシェア7割という首位行が誕生し寡占状態となること。自由な競争がなくなってしまい、借り手側に銀行を選ぶ選択肢がなくなるのではという懸念からです。地銀の統合を進めたい金融庁・銀行側と公取委の意見が対立しています。公取委がM&Aを差し止めたケースはまだありませんが、今回がその第1号になるではないかと注目が集まっています。

地方の企業経営者にとっては親身になってくれる地元の銀行からお金を借りたいと考えるのは当然のこと。しかし、今回の統合で県内資本の銀行がなくなります。統合後に融資姿勢が変わった場合に、借り手にほかの選択肢があるのか、地元には懸念が広がっています。今回のケースでは地元への説明も足りなかったよう。地銀にとって再編は経営の問題ですが、地元で暮らす人々にとっては暮らしにかかわる大問題。地銀再編には地元の不安を払拭する努力が欠かせないようです。

日経お役立ちニュース17年3月2日配信のサムネイル

日経お役立ちニュース17年2月16日配信のサムネイル

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