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日経お役立ちニュース No.26

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日銀は4月27日の金融政策決定会合で景気判断を一歩前進。9年ぶりに「拡大」との表現を用い「緩やかな拡大に転じつつある」と上方修正しました。景気は回復しているといわれるものの、なかなかその実感はありません。今日お届けするのはそんな景気のニュース。4月6日付け1面「景気回復 戦後3位」、4月17日付け1面「景気 生産・輸出で底堅く」をお送りします。

 

2012年12月16日投開票の第46回衆議院議員総選挙の結果を受け、民主党(現民進党)政権が終わり、自公連立政権が誕生しました。12月26日に第2次安倍内閣が誕生。そして、「アベノミクス」がスタートしました。円安による輸出関連企業の収益増、さらには世界景気の回復が続き、わが国の輸出は底堅く推移しています。また、東日本大震災からの復興事業など、積極的な財政出動で、緩やかな景気回復が継続しています。景気回復は17年3月までで52カ月連続となり、バブル景気の51カ月を抜いて戦後3位となりました。

 

わが国の最大貿易国であるアメリカは09年7月から長期の景気回復が続いています。また、貿易相手国第2位の中国も一時の危機からは脱したようで、景気は回復基調です。さらに、原油をはじめ資源価格が回復したことで資源国の経済も持ち直し、新興国経済も回復してきました。そのため、わが国の景気はこのまま持続し、今年9月には1965年11月から70年7月の57カ月におよぶ戦後第2位の「いざなぎ景気」を抜くだろうともいわれています。

 

戦後最長の景気回復は2002年2月から08年2月の73カ月間。いざなぎ景気を超えたことから、俗に「いざなみ景気」と呼ばれています。いざなぎ景気は戦後の神武景気(神武天皇 ※初代天皇)、岩戸景気(天岩戸 ※天照大神)を超えたことから、国産み神話の男神イザナギの名がつけられました。イザナギは愛するイザナミに遭うために黄泉の国にまでいってしまうのですから、妻である女神イザナミの方が上ということで、いざなぎ景気超え景気はいざなみ景気といわれています。

 

いざなみ景気の際も景気回復の実感がなかったといわれています。それは今回のアベノミクス景気も同じ。息が長いだけで力強さには欠けています。高度経済成長期のいざなぎ景気中の経済成長率は平均で11.5%。一方、いざなみ景気は2.4%。今は1%台です。バブル景気の頃は5.1%ありました。景気回復といわれても実感できないのはこのためです。

 

さらに、いざなぎ景気の間に所得は2.1倍に増加しました。しかし、いざなみ景気の頃は良くて横ばい。いざなみ景気には「リストラ景気」という別名もあります。企業がリストラを進めることで業績を回復していた時代です。そして今も賃金の上昇は雀の涙。景気回復にもかかわらず、物価が上昇して実質賃金はマイナスにもなっていました。これではGDPの6割を占める個人消費が増えるわけはありません。

 

そして、大きな問題となっているのが人口減少です。前回(4月20日)お送りした「日経お役立ちニュース」にも書きましたように、10%以上の経済成長を続けていた高度経済成長期でさえ、労働人口増加率は1%程度。重要なのは労働生産性であって、専門家の多くは人口減は経済に影響しないとしています。しかし、人口減少により日本の国内市場が縮小することは間違いありません。先行きへの不安から企業は固定費増につながる賃上げを躊躇しています。給料が増えないので個人消費は伸びず、海外への輸出と公共投資頼みの景気回復になっています。

 

日本経済はバブル崩壊後にデフレが進みました。バブル崩壊からいざなみ景気が始まるまでの経済低迷期は「失われた10年」と呼ばれていました。しかし、いざなみ景気でもデフレから脱することはできず、リーマン・ショックで終焉をむかえます。今では「失われた20年」というほうが多いですね。さらには未だに経済の成長が実感できないことから「失われた30年」という呼び方もでてきています。

 

アベノミクスは「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の三本の矢から始まりました。日銀の異次元緩和という大胆な金融政策で円安が進み、企業の業績回復につながりました。東日本大震災の復興事業など機動的な財政政策も景気を下支えしています。しかし、成長戦略の柱とされていたTPP(環太平洋経済連携協定)はトランプ政権の誕生でご破算に。働き方改革も労働者の待遇改善にはつながっていますが、生産性をあげるにはまだまだ。このまま成長戦略が進まないと、本当に「失われた30年」になってしまいます。

 

これから日本経済はどうなるのでしょうか。続きは日本経済新聞でご覧ください。

 

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