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日経お役立ちニュース No.23

投稿日:2017年3月16日 更新日:

今年の冬は野菜の値段が高かったですね。鍋物をする回数が減った家庭も多いのではないでしょうか。今日お届けするのは気になる物価のニュース。3月4日(土)3面「値上げの春?」と9日(木)3面「消費は力強さ欠く」をお届けします。

 

昨日15日は春闘の集中回答日。自動車や電機など主要企業が一斉に回答を行いました。一部の企業は4年連続でベアを決めましたが、妥結額は前年割れが相次いでいます。米トランプ政権や欧州の政治動向など世界経済への先行き不透明感から、経営側は慎重な姿勢を崩しませんでした。大手の回答が出そろった後は中小企業の労使交渉が本格化しますが、今春闘の賃上げ率は昨年実績の2%を下回る公算が強まってきました。政府が企業に賃上げを求める「官製春闘」も4年目で失速しそうです。

 

この2%というのは重要な数字です。政府・日銀はインフレターゲット(物価上昇目標)を2%に定めています。つまり、毎年2%物価が上昇する社会を目指しているということです。そのためには最低でも毎年2%の賃上げが必要です。2%以上の賃上げがなければ、消費者は年々貧しくなってしまいます。

 

賃上げは厳しい状況ですが、物価はじわじわと上がりそうな気配をみせています。総務省が3月3日に発表した1月の消費者物価指数は1年1カ月ぶりに総合指数(生鮮食品を除く)が0.1%上昇しました。円安と世界的な景気回復から原油や資源、食品などが値上がりしてきている影響です。企業の原材料コストが上昇し、印刷用紙やタイヤなど4月から値上げを打ち出した企業もあります。この先は様々な分野の値上げにつながる電気料金の引き上げも予想されています。

 

一方、消費者は既に物価上昇を実感しています。1月の生鮮食品価格は8.0%上昇しており4カ月連続の値上がりです。消費者は他の支出を減らさざるを得ず、節約志向が強まっています。8日、内閣府が発表した2月の景気ウォッチャー調査では、街角の景気実感を示す現状判断指数が前月より1.2ポイント低下し、48.6と2カ月連続で悪化しています。消費拡大策として実施された2月24日からの「プレミアムフライデー」も効果がなかったようです。

 

消費の弱さから、多くの企業が原材料コストの増加を販売価格に転嫁できないのではないかといわれています。その理由が2015年春からの一斉値上げ。日銀の異次元緩和による円安で輸入価格が上昇。食品メーカーやスーパーは一斉に値上げに動きました。しかし、前年4月の消費増税の影響を引きずる消費者は一気に節約志向を強め、消費増税の影響から回復しつつあった消費は失速しました。そして、企業はデフレ時代の低価格路線に逆戻り。高価格路線を打ち出し収益増にチャレンジする企業もありましたが、ことごとく失敗しています。今回の原材料コスト上昇も、これまで同様、企業の経営努力で吸収するしかないようです。ただし、それでは企業の業績が悪化し、賃金の低下にもつながります。デフレ経済再びです。

 

これを打開するには消費者が多少無理をしても物価上昇を受け入れられるようにしなければなりません。そのためには将来不安を払拭するのが一番。将来への不安がなければ、今は多少の無理をすることもできます。年金など社会保障改革はまだまだ進んでいません。与野党ともにそれを目指していたはずなのに。

 

経済と政治は密接です。特に世界でポピュリズム旋風が蔓延しそうな今は。

15日投開票のオランダ下院選はルッテ首相率いる中道右派の自由民主党(VVD)が第1党を維持する見通しになったようです。「反イスラム」を掲げて一時は世論調査でトップを独走した極右の自由党は議席を大きく増やしたものの伸び悩みました。世界が注目したポピュリズム旋風が吹き荒れる事態はひとまず回避されたようです。経済ニュースだけでなく、政治ニュースにも日経でどうぞ。

 

日経お役立ちニュース17年3月16日配信のサムネイル

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